執筆・編集:Cosewa編集部
最終更新日:2026年4月27日
Cosewa編集部は、ペットとの暮らしに役立つ情報や、最新のペット事情をお届けしています。ペット関連企業として「ペットと人が幸せに暮らせる社会」の実現を目指し、飼い主としての実体験と客観的な視点を大切にしながら編集しています。
仕事から疲れて帰宅して、思わず「はぁ…」と深いため息をついたとき。ふと愛犬を見ると、なんだか不安そうな顔でこちらを見つめていた、という経験はありませんか?
愛犬が自分のしっぽを追いかけてグルグル回っていたり、なんだか落ち着きがなかったりすると、「最近お散歩の時間が短いからかな?」「お留守番が多くて寂しいのかな?」と、犬自身の環境の変化を疑うことが多いと思います。
しかし、実はそのストレスの根本的な原因は、「飼い主さん自身のストレス」かもしれないのです。
今回ご紹介するのは、スウェーデンのリンショーピング大学の研究チームが科学誌『Scientific Reports』で発表した、犬と飼い主の「ストレスの同期(シンクロ)」に関する驚くべきレポートです。少しドキッとする内容かもしれませんが、愛犬との絆を深め、お互いにリラックスした生活を送るために、すべての飼い主さんに知っておいていただきたい興味深いデータが満載です!
犬は飼い主のストレスを感じ取っている可能性がある(科学研究で確認)
58組の犬と飼い主で、ストレスレベルが連動していることが判明
運動量や散歩の頻度ではなく、“心の状態”が大きく影響
犬はあなたの感情を、想像以上に深く共有しているかもしれない
飼い主が穏やかでいることが、愛犬の安心にもつながる
犬の幸せのために、「自分を整える」ことも大切なケアのひとつ
そもそも、なぜ犬は私たちの感情にこれほどまで敏感なのでしょうか?
研究の背景として、犬と人間は少なくとも1万5000年以上にわたって生活を共にしてきた歴史があります。長い年月をかけて、犬は人間のちょっとした表情の変化や声のトーン、さらには「匂い」から感情を読み取る能力を異常なまでに発達させてきました。
これまでも「一時的な緊張やパニック」が犬に伝染することは知られていましたが、今回の研究が画期的なのは、「数ヶ月単位の長期的な慢性ストレス」までもしっかりと犬にうつってしまうことを世界で初めて証明した点にあります。
この研究では、58組の犬(シェットランド・シープドッグとボーダー・コリー)とその人間の飼い主(女性)を対象に調査が行われました。
長期的なストレスの度合いを測るために使われたのは、血液でも唾液でもなく、なんと「髪の毛(犬の場合は首の後ろの被毛)」です。毛には、伸びていく過程で血中のストレスホルモン(コルチゾール)が年輪のように蓄積されていきます。これを利用することで、その日たまたま感じた一時的な緊張ではなく、過去数ヶ月にわたる「慢性的なストレスの歴史」を正確に測ることができるのです。
その結果、夏と冬の2回の測定の両方において、飼い主の毛髪から検出されたストレスホルモン値が高いと、愛犬の被毛のストレスホルモン値も明確に高くなることが確認されました。
私たちが日々の生活や仕事でイライラしたり、深い悩みを抱えたりしていると、そのピリピリした空気は目に見えない形で確実に愛犬へ伝染し、愛犬の体内にもストレスホルモンを蓄積させていたのです。
「でも、うちの子は毎日ドッグランで思いっきり走っているし、アジリティの大会にも出ているから、ストレス発散できているはず!」と思う方もいるかもしれません。しかし、研究データは私たちの直感を裏切る興味深い事実を示しています。
クラウド型の活動量計(スマート首輪のようなもの)を使って犬の動きを継続的にモニタリングした結果、犬がどれだけ活発に動いたか、または1週間にどれだけトレーニングをしたかといった「日々の活動量」は、この長期的なストレスレベルに全く影響を与えていませんでした。つまり、ドッグランで走らせても、根本的な解決にはならないということです。
この研究では、人間と犬、両方の「性格テスト」も行われました。その結果、「飼い主の性格(神経質さ、誠実さ、開放性など)」は犬のストレス値に大きな影響を与えましたが、逆に「犬自身の性格」は、ストレスレベルにほとんど影響を与えませんでした。犬が飼い主のストレスを鏡のように映し出しているだけであり、飼い主が犬のストレスに影響を受けているわけではないことがわかったのです。
ちょっとした豆知識ですが、夏に比べて冬のほうが、犬のストレスホルモン値全体が高くなる傾向(季節的な影響)も確認されました。寒い時期はお互いに室内にこもりがちになるため、より密接に感情がシンクロしやすいのかもしれません。
犬は共感能力が非常に高い動物であり、一緒に暮らす家族の感情を誰よりも敏感に察知します。愛犬に心からの「安心」を提供し、リラックスして毎日を過ごしてもらうためには、まず何よりも飼い主さん自身が心身の健康を保ち、笑顔でいることが一番の特効薬です。
仕事や家事、日々のタスクで忙しく、どうしてもストレスが溜まってしまう時は、決して一人で抱え込まないでください。「自分が休むために犬の世話を誰かに頼むなんて、飼い主失格かも…」と罪悪感を覚える必要は全くありません。
時にはプロのペットシッターに愛犬のお世話やお散歩をお任せして、飼い主さん自身がホッと一息つける「自分のための時間」を作ってみてください。飼い主さんがしっかりとリフレッシュして心の余裕を取り戻すことは、結果的に愛犬を慢性的なストレスから守ることに直結するのです。
愛犬の幸せのために、まずはあなた自身の心を大切にして、お互いが「安心」して寄り添える穏やかな日々を作っていきましょう!
犬は1万5000年以上人間と共生してきた歴史の中で、飼い主の表情や声のトーン、さらには微細な匂いの変化から感情を読み取る能力が極めて高く発達したためと考えられています。
散歩や運動は一時的なリフレッシュにはなりますが、今回の研究では「飼い主が抱える長期的なストレス」がある場合、運動量に関わらず犬のストレス値も高くなることが示されています。
研究の結果、犬自身の性格よりも「飼い主の性格(神経質さなど)」の方が、犬のストレスレベルに大きな影響を与えることが判明しており、性格による差はほとんど見られませんでした。
正確な理由は解明されていませんが、冬場は室内で飼い主と密接に過ごす時間が増えるため、飼い主の感情的な変化をよりダイレクトに受けやすくなる可能性が指摘されています。
まずは飼い主さん自身が心に余裕を持つことです。疲れている時は無理をせず、ペットシッターなどを活用して自分自身を休ませる時間を作ることが、結果として愛犬のストレス軽減につながります。
参考・引用元の科学レポート(英語):
Long-term stress levels are synchronized in dogs and their owners (Scientific Reports)
こちらもご覧ください
ブログ、ガイドライン、よくあるご質問には、役立つような情報を掲載しています。